今回は手~指の骨折における非常に有用なギプス法の話です。
骨折部はギプスなどで固定することが基本ですが、下図の範囲のような指や手の骨折の固定法ではどうでしょうか?
一般整形外科では指1本のみアルミ製シーネなどで固定するかもしれませんが、指1本のみ固定では指全体のバランスがくずれ、固定をはずした時には指がうまく動かず、リハビリに時間がかかり、指に固さが残ってしまうこともあります。
手外科ではナックルキャストと呼ばれ、母指以外の全指を動かしながら骨癒合を待つギプス固定法を行います。
これは初診時すぐに開始します。
手をグーにしてもらい、ギプスを巻きます。
痛みでグーにできない場合には局所麻酔を用います。
グーの状態では骨折の背側にある伸筋腱機構が緊張することで骨折部を抑え込むため安定します。
写真のような状態で指を伸ばしたり曲げたりすることで、指の拘縮や骨折部が回って変形するのを予防できます。
しっかりとグーにできる方は早期に痛みがよくなり、指はギプスを外した際にすでに良く動くため、その後のリハビリはほぼ不要です。
手の治療は機能回復が最重要です。
この優れた治療法があるため、同部位の骨折で手術を行うことはさほどありません。
逆に手術の方が機能回復で劣ってしまうこともあります。
皆さんこんにちは、理学療法士の三澤です。今回は、手首の運動をご紹介していきます。
怪我や手術により関節を動かせない期間が続くと、関節の動きは徐々に硬くなっていきます。
リハビリでは理学療法士が関節の動きを改善するための運動を行いますが、日常生活でのちょっとした時間にご自身で動かしていただくこともとても大切です。
手首(手関節)の動きには「掌屈・背屈」「橈屈・尺屈」「回内・回外」の3種類があり、これらが複合して動くことによって日常生活での動作を可能にしています。例えば、顔を洗う動作では背屈40°回外70°、タオルを絞る動作では背屈0~15°掌屈0~20°回内外0~45°が必要になるといわれています。
(標準理学療法学 理学療法評価学:医学書院 より引用)
ご自身で手首を動かす時も、この3種類の動きを意識して動かしてみましょう。
テーブルやクッションなどに手を置いて脇をしめて行うと、肘や肩の動きに惑わされずしっかり動かせます。
また、ダーツを投げるように少し斜めに手首を動かすことで手首の中でも手根中央関節と呼ばれる分の動きを出すことが出来ますので、合わせて行ってみましょう。
ご自分で動かすことが不安な時は、お気軽に理学療法士にご相談ください。